12月に突入
年の瀬になると、いつも決まって「今年も早かったですね~」という言葉を耳にする。耳にするも何も、自分自身が一番多く使っている気さえする。どうして早いと思ってしまうのか。冷静になって考えてみると、毎年11月が一年で最も忙しい月だから、と自分の中で答えが出た。
浄土真宗には「報恩講」という親鸞聖人の御命日法要がある。真宗門徒にとっては一番重要な法要であるから、自坊ではもちろん、別院でも、本山でも報恩講が勤められる。正覚寺(自坊)の場合は1日だけだが、別院は3日間、本山では8日間にわたって勤修される。
私が忙しいと感じる所以は、11月に別院と本山、両方に出勤するからだ。今年、鹿児島興正寺別院のほうは12日~14日にかけて、本山は25日~28日にかけて出勤した。当然、本番に向けて練習をする。声明・雅楽・動作―、ゆえに私の中では10月後半からある意味、報恩講が始まっているのである。10月後半から11月末までの期間、時間の大半がそこに充てられることとなる。
そのため、いざ終わってみると期間中の記憶がすっぽり抜け落ちたかのような感覚になる。それが私の「今年も早かったですね~」に繋がってくる。
報恩講を乗り切ると、私の中では「今年も終わったなぁ」と思う。12月は惰性で動いている。
ゆっくり止まって、ゆっくり動き出す。車も人生もそれくらいでちょうどいい。