我が家のカメの冬ごもり
我が家ではカメを飼っている。かれこれ25年は生きている老ガメだ。
老ガメとは言っても、老いているのかよく分からないというのが本音である。
飼い始めた頃と比べて体は大きくなった。それだけは確かに老いに違いない。しかしそれ以外に老いた様子が見当たらない。相変わらずエサはよく食べるし、動きが特別鈍くなったわけでもない(意外に思うかもしれないが、カメは水槽の外に出してやると、かなりの早さで逃げ回る)。目は相変わらず澄んでいるし、「カッ」という唯一の鳴き声も昔とちっとも変わらない。ミシシッピアカミミガメの平均寿命は約30年というが、我が家のカメは60年くらい生きるんじゃないかとすら思ってしまう。
そんな元気有り余るカメだが、毎年12月に入ったタイミングで居場所が屋外から室内に変わる。見た目には分からないとはいえ、そこはおじいちゃん(性別もよく分からないので、もしするとおばあちゃんかもしれない)。お年寄りは労りましょう精神で、玄関の軒下から玄関の中に水槽ごと引っ越しをする。砂や葉っぱで冬眠させることもできるらしいが、失敗して冬眠が永眠になってしまっては困るので、うちでは水はそのままに、水生生物用のヒーターを入れて越冬させる。水温が心地いいらしく、カメは一段とエサをよく食べる。
とは言え、数日もするとエサの食べかすや糞で水が汚れてしまうので、その時ばかりはカメに一旦退去してもらって水槽を掃除する。入れ替えたばかりの水はキレイだが冷たい。カメもヒーターで水が温まるまではあまり動こうとしない。冬になるとヒートショックのニュースがテレビで報じられるが、カメも人間と同じようにヒートショックになるのだろうか。
「カッ」しか言わないので、気分も体調も分からないが、もりもりエサを食べてくれる様子から、今年の冬も乗り切ってほしいと切に思う。