頴娃茶びいき

今日のニュースで鹿児島県の荒茶の生産量が静岡県を抜いて1位になったと報道されていた。これは統計が残る1959年以降で初めてのことだという。ちなみに生産量を県内の市町村別に見ると、2位の志布志市を大きく突き放し、南九州市が堂々の1位である(志布志市4083㌧、南九州市12515㌧、一般社団法人鹿児島県茶生産協会 令和5年度調べ)。地元に住む者としてこれは素直に嬉しいものである。

ただ一つ個人的に思うのは、南九州市で生産されたお茶がすべて「知覧茶」と表記されていることだ。頴娃町で作ろうと、川辺町で作ろうと「知覧茶」になってしまうのは正直悲しい。

私が子どもの頃は頴娃で作られたものはきちんと「えい茶(‟頴娃”が難読のため、平仮名で表記されていた)」という名で売られていた。道路沿いには「えい茶日本一」と書かれた巨大看板も立っていた。それに「えい茶」と「知覧茶」は若干味が違うのだ(これは地元のお茶を長年飲んでいるからこそ分かる)。

「知覧茶」というブランドが世間に広く認知され、頴娃もそれに乗っかっているので、今更「えい茶」という名称を復活させてほしいとはさすがに私も言わない。それに南九州市という一つの町になったのだから、頴娃じゃ知覧じゃ、と目くじらを立てるのは良くないと言われるかもしれない。

しかしそれでも、頴娃のお茶に育てられた一人の人間としては、やはり頴娃のお茶農家さんたちにもスポットが当たって欲しいと思う。

地元でしか飲めない純度100%の「えい茶」が私は大好きである。