父、最後の登壇
永代経法要では決まって登壇をしてきた父。その父が「今日で登壇は最後にする」と法要直前にポツリと言った。
ここ最近、一座経も正座から椅子になった父。加齢になりだいぶ膝が痛いのだろう。
いずれその時は来るとある程度覚悟はしていたので、別段驚きはなかった。
小声で「分かった」とだけ返した。
父が登壇する最後の法要。
何ら変わらないいつもの登壇。
お参りに来ている方々もいつも通りだ。
これが最後だと知っているのは父と私だけだ。
住職になってからこの礼盤にどれほど登壇したのだろう。
今、どんな気持ちでその上に座っているのだろう。
そんなことを考えながら父の最後の雄姿を眺めていた。
もうこの光景は見えなくなるのか。
あらためて思うと、やっぱり寂しい。
諸行無常は身近なところにある。
