自伝 ―大学時代の話 10-

ほんの一瞬だけだったが、私は学生サークルに入っていた。

きっかけは入学式直後のサークル勧誘だ。

サークル名は「核と平和を考える会」。名前からしてすでに面白くなさそうな気配がただよっていた。

それでも自分自身何かしらのサークルには入ってみたいと思っていたし、名前は堅苦しくてももしかしたらサークル内は楽しいのかもしれないと、とりあえず仮入部という形で参加の意思を示した。

入部初日、期待と緊張の入り混じる中、部室のドアを開ける。

10畳くらいの部屋、コの字型に並んだ机、机の上に積まれた書籍。

人間は6人ほど。そして全員、男。

淡い期待は3秒で崩れ去り、心の中で大きなため息が出た。

サークルの主な活動は「事前に範囲を決めて全員で同じ本を読み、週1回の活動日に討論する」というもの。

しかも取り扱う本はニーチェやカントといった哲学の類である。

当時はまだ頭が理系だった私にとって(高校時代は理系だった)、その魅力は皆無だった。

活動が始まって30分。先輩方が、あーだこーだ言っている中、私は「どうすればここを辞められるか」ということばかり考えていた。

その日、新入生は私ともう一人いた。

それがO君との出遇いである。