見る者が見れば…

毎年、我が家にはジョウビタキがやってくる。スズメより少し大きな渡り鳥だ。

今年第1号はメス。どういうわけか私の車が気に入ったようで、気が付くといつもサイドミラーの上に乗っている。人が近づくと逃げてしまうのだが、離れると再びサイドミラーの上にちょこんと立つ。そして時折、鏡を見ては、仲間がいると勘違いしているのか首をしきりに動かす。その姿は見ていてとても愛らしい。

ところがこのジョウビタキ、困ったことにサイドミラーの上でやたらとフンをする。紺色の車体だから白いフンはとても目立つ。仕方がないので水洗い(この時はどこかへ飛び去っている)をする。やれやれ綺麗になったと思って、30分後来てみれば、サイドミラーには再びまだら模様に逆戻り。また洗う。また汚れる。またまた洗う。またまた汚れる。

「一水四見」という言葉を思い出した。同じ水でも人間には水に、魚には住処に、天人には瑠璃色の宝石に、そして地獄の鬼には血だまりに見えるという意味で、同じものでも見る主体が異なれば様々な見え方がある、ということを表している。

それになぞらえるならば、私にはサイドミラーに見えるが、もしかするとこのジョウビタキにはこれがトレイに見えているのかもしれない。何度も通うことから、よっぽど心地がいいのだろう。トイレの後に鏡に姿を映す行動も考えてみれば人間そっくりである。ならば私はトイレの清掃員というところか。

こんな感じで数日が経過。このいたちごっこ、一体いつ終わりが来るのだろうか。