「宗旨」と「宗派」
「ゴシュウシは何ですか?」と尋ねられて、あなたは即座に答えられますか。「ゴシュウシ」は漢字で書くと「御宗旨」。あまり耳馴染みのない言葉かもしれません。似たような言葉に「宗派」というのがあります。こっちなら聞いたことがある、という方もおられるでしょう。
今回は「宗旨」と「宗派」の意味と違いについてお話します。
「宗旨」というのは、簡単に言うと「〇〇宗」にあたる部分です。日本には数多くの宗旨がありますが、それぞれ教義の拠り所としている経典が異なります。私たち浄土真宗で言うならば『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』の三冊が拠り所です。真宗は念仏往生を説きますが、その根拠はこの三つの経典に書かれているからなのです。
ですので、宗旨が同じなら日本中どこへ行っても同じ教えが説かれます。「北海道の浄土真宗のお寺では念仏が大事と言われたのに、鹿児島の浄土真宗のお寺では座禅が大事と言われた」…なんてことはないのです。
「宗派」というのは、「〇〇宗△△派」というように「一つの宗旨から枝分かれした分派」のことをいいます。浄土真宗の場合は、浄土真宗本願寺派・真宗大谷派・真宗高田派・真宗佛光寺派・真宗興正派・真宗木辺派・真宗出雲路派・真宗誠照寺派・真宗三門徒派・真宗山元派の十派があります。
宗旨が同じなので、教義自体は十派共通なのですが、作法やお経の読み方に宗派独自の特徴があります。
例えるならば、「宗旨」は木でいうところの“幹”に相当し、「宗派」は“枝”に相当します。一本の木から伸びた枝ですので、当然、花も実も同じになります。ただ、付き具合や太さに関しては枝によって異なるということです。
正覚寺は「真宗興正派」です。つまり、「宗旨」は真宗、「宗派」は興正派ということになります。皆さんもいざという時のために、普段からお付き合いのあるお寺さんの「宗旨」と「宗派」は知っておいてください。