喪中はがき

喪中はがき

「喪中につき、新年の御挨拶を失礼させていただきます」という文面で始まる喪中はがき。毎年、年の瀬が近づくと我が家にも2~3通の喪中はがきが届きます。

「今年一年内で身内の者が亡くなったら喪中はがきを出す」というのが世間一般のマナーとされていますが、こと浄土真宗に限っては喪中はがきは出さなくても別にいいものなのです。

そもそも喪中というのは「喪に服する期間(=喪服を着て過ごす期間)」のことで、死別の悲しみを乗り越え、日常生活へと戻っていくために必要な心の充電期間をいいます。そのため期間中は祝い事を避け、贅沢や楽しみを行わず、静かに慎ましく過ごします。そこから派生したのが「喪中の人間は、祝いの挨拶をするべきではない」という考え方なのです。

しかし、この「祝い事を避ける」というのは全くもって神道に由来するものです。神道は死を“穢れ(けがれ)”と見ますから、「穢れを周囲に広げてはならない」という理由で、祝い事を避け、家に閉じこもって自粛をするわけです。

私たち浄土真宗の教えは「往生即成仏」です。人としての生を全うした後、すぐさま極楽浄土にて仏となる、という教えです。浄土というのは文字通り「浄らかな世界」ですから、そこに往生された方も当然「浄らかな存在」です。また、極楽というのも楽の極まり、すなわち「ひとかけらも苦しみがない」ことを表しますから、一般によく言われるところの「家族の死=身内の不幸」と表現も浄土真宗には当てはまりません。苦しみのない世界へ行くわけですから、不幸どころか幸福なのです。

結局、喪中はがきも、身内の不幸という言い回しも、神道の考え方に起因したものです。

真宗の門徒であるならば喪中はがきは不要です。一般マナーの情報に流されることなく堂々と年賀状を出しましょう。

「おかげさまで故人はお浄土へ参りました。重ねてめでたい事でございます」。このような挨拶をぜひ見てみたいものです。

ポイント:「喪中はがき」は神道の考え方。浄土真宗は年賀はがきを出しても何ら問題ない。