お仏壇のお給仕

お仏壇のお給仕

給仕とは「主に仕え、世話をすること」をいいます。

一般的な意味では食事の席にて配膳や片付けの世話をすることを給仕といいますが、殊、お仏壇に対していう場合にはお花を生けたり、お仏飯をお供えしたりすることをいいます。また「給仕」と言わずに「お給仕」と敬称表現になっているのは、仕えるのが人ではなく仏さまだからです。ですので、お給仕とは「世話をする」ものではありません。「お世話をさせて頂く」ものです。この私が仏さまのお世話をできることがそのまま喜びとなるようなお給仕を心がけていきましょう。

さて、お給仕の基本は古来より「五供(ごぐ)」といわれています。

 ①お香

  お香は心身を鎮めるはたらきとともに、空間全体に遍く広がる仏さまの徳をあらわすものです。

  お仏壇ではお線香を用いますが、立てずに寝かせて用いるのが浄土真宗の作法です。

 ②お花

  お花は見る者の目を楽しませるとともに、やがては枯れゆく身であるという無常観を私たちに教えています。

  お仏壇で用いるお花に決まりはありません。その時々における季節の花を用いるようにしましょう。

  なお枯れることに意義があるのですから、やむを得ない場合を除き、造花ではなく生花を生けるようにしましょう。

 ③浄水

  お経を開きますと、お浄土の世界には美しく浄らかな水が流れていると説かれています。

  それに因んでお仏壇では華瓶(けびょう)に香木である樒(しきみ)を挿して浄水として扱います。

  もし、ご自宅に華瓶がない場合は敢えて供える必要はありません。

 ④お仏飯

  命をつないでいくためには食べねばなりません。しかし“ただ食べるだけ”なら動物と同じです。

  食べられる命に対して懺悔し感謝できるのが人間の人間たる所以です。

  お米は私たちの「肉体的な命の糧」です。仏さまは私たちの「精神的な命の糧」です。

  この私の命は肉体と精神の両面から生かされていることをお仏飯から知らせていただくのです。

 ⑤お灯明

  火を灯すと、そこには明かりが生まれ、そして同時にぬくもりが生まれます。

  明かりは私たちの心の暗闇を照らす仏さまの智慧を表し、ぬくもりは決して見捨てることのない慈悲を表します。

  最近は火事の危険性から電池式の蝋燭も増えていますが、できることならきちんと火を灯したいものです。

ポイント:お給仕は「させて頂く」もの。お香・お花・浄水・お仏飯・お灯明の5つが基本。