打敷は特別な日に

打敷は特別な日に

お釈迦さまが生きておられた当時、弟子たちは説法の時間になるとお釈迦さまが着席される場所に美しい敷物を敷いたといいます。それは師に対する敬いの気持ちであり、また同時に「これから特別な時間が始まる」ことへの自身の心の切り替えを促すものでした。現在、お仏壇をお飾りする打敷(打敷を御存じない方は「仏具の名前クイズ」の頁をご覧ください)はこのお釈迦さまの敷物が起源となっています。

さて、そんな打敷ですが、打敷は年中出しっぱなしにするものではありません。法事やお祝いの時にだけ掛ける(厳密にはお供物を供えた際に掛ける)のが本来の使い方です。具体的には、故人の祥月命日や年忌、中陰期間(=初七日から四十九日までの期間のこと)、お正月、お彼岸、お盆、報恩講、結婚式などです。お釈迦さまが説法される時に敷いた布が起源ですから、法座が開かれる(お坊さんを招いて仏法聴聞する)場にて打敷は掛けられるのものなのです。

出したり片づけたりするのを面倒に思われるかもしれませんが、出しっぱなしだとどうしても「特別感」が薄れてしまいます。かつての仏弟子たちがそうであったように、平時と非時を「形から変えること」で心にスイッチを入れるのです。

普段とは違う特別なお荘厳を前に、仏さまの教えを聞いてまいりましょう。

ポイント:打敷は特別な日に用いる法具。必要に応じて出し入れするもの。