お仏壇の荘厳
お寺の本堂に入りますと、正面中央に仏さまがおられます。
これは「仏さま(の教え)を中心とした生き方を目指しなさい」ということを表しているためです。
しかし、お寺に来た時“だけ”よい子ちゃんで、帰宅して元に戻ってしまっては何にもなりません。
そこでおうちの中でもしっかり仏さまを意識した生活を営めるようにと、お仏壇が考案されました。
つまりお仏壇というのは「小さなお寺」なのです。
お仏壇はお寺と同義ですから、当然その荘厳(=お飾り)もなるべくお寺に準じなければなりません。
荘厳に必要なのは香(こう)・華(け)・灯(とう)の三つで、これを三具足(みつぐそく)といいます。
具足とは「完全に備わったもの」という意味。従って香・華・灯が揃えば「完成された荘厳」ということになります。
逆に言うと、それ以外のものは荘厳には不要ということです。時々、お札(ふだ)やお守り、阿弥陀さま以外の仏像などを一緒に入れて、お仏壇の中がゴチャゴチャしているお宅を拝見することがありますが、あれもこれもと「私の思い」で飾るものは正しい荘厳とは呼べません。最低限のものでスッキリとしているものこそ、美しく正しい荘厳なのです。
さて、荘厳を構成する香・華・灯ですが、具体的に言えば香炉・花瓶・ロウソク立て(仏具の名称については「仏具の名前クイズ」の頁をご覧ください)となります。並び方は正面から見た時、左から花瓶・香炉・ロウソク立ての順です。


※もし、香炉やロウソク立てが「三本足」になっている場合は一本の足を正面に来るように置きます。
ちなみに荘厳には三具足のほかに五具足があります。
五具足は香炉を中心として、内側にロウソク立て一対、外側に花瓶を一対置く並べ方で、三具足よりも重い(丁寧な)荘厳となります。平常時は三具足、特別な時(祥月命日や年忌、報恩講やお盆などの仏教行事、年末年始などの一般行事)は五具足にします。
ですがお仏壇の大きさも大小様々ありますから五具足を揃えているご家庭は、そう多くはないかもしれません。
その場合は三具足に打敷でも構いません。

形が整えば心も自ずと整います。
正しい荘厳となっているか、あなたの家の「小さなお寺」を一度チェックしてみてください。