かくれ念仏洞探し

かくれ念仏洞というのは町の指定文化財に登録されているものと、されていないものがある。

登録されているものは容易に見つかる。ネットで検索すれば簡単に引っかかるし、現地に行けば標柱だったり看板だったりが設置してあるからだ。

それに対して、登録されていないものはとんでもなく骨が折れる。情報元となる町の郷土誌には細かい住所までは書かれておらず、そこに記載されている家主の名前も「郷土誌が編纂された当時」のものなので、すでに故人となっていることがほとんどだ。だからひたすら足で探す。効率は悪いが方法がそれしかないので仕方がない。わざわざ遠出したのに空振りに終わるなんてことも往々にしてある(5月15日に投稿予定の「大古川の念仏洞跡」も散策3度目にしてようやく見つかった場所である)。「見つからなくて当然、見つかったらラッキー」くらいの気持ちで臨まなければかくれ念仏洞探しはやってられない。

今日は祁答院町にあるという念仏洞を探しに出かけた。参考文献は『祁答院町史』。場所は下手村川西だという。

Google mapで「下手」の場所は特定できた。しかし「川西」が分からない。

はじめに薩摩川内市の文化財課を訪ねる(市町村合併によって、現在、祁答院町は薩摩川内市の管轄)。担当の方に事情を話すと、指定文化財ではないため洞窟の場所は分からないが川西という場所なら教えられる、ということで周辺地図を印刷してくださった。これで大体の場所が分かった。

次に薩摩川内市の図書館へ。『祁答院町の文化財』という本におおよその位置が記してあった。それをもとにゼンリンの地図帳を使って目星をつける。こうして下調べが済み、祁答院町へ。

30分後、祁答院町に到着。見当をつけた家を訪ねる。

が、しかし空き家だった。

とりあえず周辺を散策。「近隣住民がいれば聞き込みができるのにナー」とウロウロしていると、ちょうど土地の人に出遇う。調査の旨を伝えると、該当場所をご存知の方だった。これはラッキーである。

教えて頂いた場所に行ってみると、まさに探していたものが目の前にあった。

調査開始から4時間。足で稼いだ努力の結晶である(調査報告はまた後日)。

帰り際にふと思った。これはドラクエみたいだと。

順番に話を聞いて情報を集め、目的地を目指すという手順がドラクエっぽい。

苦労した分、喜びは大きい。これもドラクエそっくりだ。

結論。指定文化財に登録されていない洞窟を探す行為はドラクエである。

ゲームのRPGが好きだから、私は念仏洞探しが苦にならないのかもしれない。

次回の冒険は姶良市である。