妻、京都へ
教師の資格を取るため妻が京都へ発った。
朝7時。家を出る。
たわいもない話をしながら空港へ。
朝8時15分。空港に到着。
出発までまだ時間は十分あったが、私と違いギリギリを好まない性格なため、すぐさま保安検査場へ。
保安検査場を通過した妻が手を振る。
バリケード越しに私も手を振り返す。
ふと頭をかすめた『御勧章』の言葉。
「まことに死せんときは、かねてたのみおきつる妻子も財宝も、わが身にはひとつもあいそうことあるべからず。されば、死出の山路のすえ、三途の大河をば、ただひとりこそゆきなんずれ」。
どちらが先になるかは分からない。間違いないのは「その時は必ず来る」ということだけである。
だが、幸いにも私は阿弥陀仏と出遇えた。
別れは辛いが、寂しくはない。
