自伝 ―大学時代の話 12-
進学にあたり、親に買ってもらったパソコン。私が持つ人生最初のパソコンはひとつワガママを言ってテレビチューナー付きにしてもらった。
画質はあまり良くないものの、録画機能付きで(但し予約録画は不可)、単に視聴する分には十分だった(とはいえ、テレビを見るためにわざわざパソコンを起動せねばならず、なにより電気代がかかるので、それほどテレビは見なかったのだが…)。
京都に住み始めて2ヶ月が経った頃だったろうか。とある休みの日、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けるとスーツ姿の男性が立っていた。
男性は言った。「NHKです」。
悪い考えが頭の中に浮かぶ。
―我が家にあるのは「テレビチューナー付きパソコン」であって、テレビはない。つまりたとえ部屋を覗かれたとしても「テレビ(という機械)」はないのだから、案外、しらを切れるかもしれない―、と。
「あの~、うちはテレビないんスよ」と私。
すると男性はあるものを指さして言った。「確か、そのパソコンってテレビ見られますよね?」
そこにあったのは捨てようと思っていたパソコンの箱。デカデカと【テレビチューナー内蔵】と書いてある。
…悪いことはできないようだ。
こうして大して見もしないテレビにも関わらず私はNHKと契約するのだった。
