お念珠は「珠」と「紐」の2つの材料で作られているものですが、ごくたまにその紐が切れてしまうことがあります。
紐が輪になっているからこそ珠はその場に留まれるのであって、ひとたび紐が切れてしまうともう為す術がありません。四方八方に珠は散らばり、それが読経中に訪れようものなら周囲はちょっとしたパニックになります。
時々、切れたお念珠に向かって「縁起が悪いナー」と仰る方がおられますが、お念珠の紐が切れるのは単に「劣化」が原因であって“縁起が悪いから”ではありません。むしろそれは紐が切れるほどたくさん手を合わせたということですから「このお念珠にも随分お世話になったナー」と時間の経過を喜べる人間になってほしいものです。
あるお寺の先生は、御門徒さんのそのような場面に出遇うといつも「いいお念珠をお持ちで」と言うのだとか。高価なお念珠になると珠の材質も石や鉱物といった固いものになる。珠が固いと紐が通る穴も鋭利になるため、樹脂や木製のものと比べて切れやすい。だから紐が切れたということは上等なお念珠を使っていた証拠、という論理。実際のところ珠の材質がどうあれ、そう言われて気分を害する方はいないはずです。これは言い得て妙ですね。
では、紐が切れたその後はどうすればいいのでしょう。
結論から言うと選択肢は2つです。「処分する」か、「修理する」です。
処分する場合は珠と紐に分け、お住まいの自治体のゴミの分別ルールに従って廃棄します。もちろんバチも当たりませんし、災厄も訪れませんのでご安心を(※どうしても自分の手で処分することに抵抗がある方はお寺へお持ち込みください)。
修理する場合はお念珠屋さんに修理の依頼をします。紐を新調するので費用はかかりますが、思い入れのあるお念珠の場合は修理されることをおすすめします(お念珠屋さんへの連絡はお寺で取り次ぐことも可能ですので気軽にご相談ください)。
繰り返しますが、紐が切れるのは「劣化」によるものです。
くれぐれも「厄を落としてくれた」「身代わりになってくれた」などと自分勝手な解釈はしないでください。
“ものを正しく見る”ことが仏教者の生き方です。
