ヤゴ観察日記 ①
たくさんいるはずのメダカの稚魚が、どうも最近少ないように感じる…。
エサは毎日あげているし、水温も適温に保っている。それにも関わらず、だ。
死ぬと一旦水面に浮かんでくるから一目で分かるのだが、1匹たりとも死骸はない。
不思議に思って水槽の水をすべて抜いてみたところ、底のほうにヤゴ(=トンボの幼虫)が2匹いた。
知らぬ間にトンボがここに卵を産んでいたらしい。ヤゴは肉食で、生きた獲物を食べる。少なく見積もっても200匹以上は食べられた模様。片方は体長1.5センチ、もう片方は4センチほどになっていた。
メダカの飼い主としてはやはりメダカのほうに情がある。
人間はどうしても「弱い者」に肩入れしやすい。
野生のシマウマがライオンに襲われている映像を見るとシマウマをかわいそうに思うし、クモの巣にかかった蝶を見るとつい蝶を逃がしてあげたくなる。
そのくせ自分は捕食者側である。
はて? 自分は本当に「弱い者」の味方なのだろうか。
結局は自分の中で他の命に優劣をつけているだけではないか。
自分が「劣」と認定したものを、ただ徒にもてあそんでいるだけではないか。
そうは言っても、やはりメダカに情がある。
ただ、ヤゴを無下にすることもできない。
そんなわけでヤゴには別の水槽を用意して、育ててみることにした。
齢39歳。夏の観察記録のはじまりである。