ヤゴ観察日記 ②

2匹のヤゴを水槽に移し、メダカの世話をしている最中のことだった。

ものの30分もしないうちに、小さいヤゴが食べられていたのだ。

気づいたときにはもう顔だけになっていた。

ヤゴにとって動くものはすべて「エサ」に見えるらしい。

残酷なようだが、実はメダカもメダカの稚魚を食べる。

メダカにとって自分の口に入るものは「エサ」なのである。

稚魚がエサなのではなく、エサとして見たものがたまたま稚魚だった、ということである。

早くもヤゴが1匹になってしまった。

しかも生餌を与えねばならない。

とはいえ、メダカをこれ以上減らすわけにもいかない。

いろいろ考えた結果、ボウフラを与えることにした。

命の選別をしている自分がいる。

この悪業は早ければ今生のうちに、遅くても来世には悪果として報いを受けるのだろう。

ボウフラもさぞ理不尽に思っていることだろう。

許しを請うつもりはない。罰はきちんと受ける。

ボウフラ蠢くヤゴの水槽。

数時間後にはきれいさっぱりヤゴだけになっていた。