台風10号襲来

電気が消え、電話がつながらず、ネットが使えない―。しかもそれが丸二日ときたもんだからさすがに参った。

天井の電気が付かないのは全然気にならない。

水シャワーも学生時代は毎日がそうであったから、これまた気にならない。

困ったのは冷蔵庫が止まってしまったことと、ネットが使えなかったことだ。

こういう時、よく耳にする言葉が「普段の電気の有難味が身をもって分かりました」の類である。

その言葉に嘘はないのだろうが、問題は「その後」だ。

果たして上の言葉を述べた人間の何%が日常に戻った時に有難味を感じているだろうか。

そう、日常に戻れば有難味も薄れるのである。「有難い」がすぐさま「当たり前」になってしまうことが

凡夫たる所以である。

電気が復旧した直後は電力会社の方に感謝こそすれど(おそらく、しない人のほうが多かろうが)、平常時に思いを寄せる人間がどれほどいるだろうか。

かく言う私もまた凡夫である。

すっかり電気とネットに毒された身。我が身のことばかり嘆いて、他を慮る心を亡くしてしまっている。

今現在も鹿児島では停電が続いている地域がある。

夜通し作業されている方がそこにはいる。

明日の私は分からないが、せめて今だけは「有難うございます」の私でいたい。