木像・絵像・名号
浄土真宗は阿弥陀仏のみを本尊とし、阿弥陀仏以外の仏まさはお飾りしない宗旨です。
さて、その本尊ですが、これには「木像(写真右)」と「絵像(写真中央)」と「名号」(写真左)」の3種類があります。
「木像」…木を彫って阿弥陀仏のお姿を立体的に表現したもの。主にお寺の本堂に安置される。
「絵像」…紙に描いて阿弥陀仏のお姿を象徴的に表現したもの。ご家庭のお仏壇に安置されることが多い。
「名号」…紙に「南無阿弥陀仏」と文字が書かれたもの。大体は大きな掛け軸で、仏間や床の間に掛けられる。
本当の阿弥陀仏のお姿というのは私たちには分かりません。なぜなら人間の認識を超えた世界にいる存在だから(これを法性法身といいます)です。しかしそれではどこに向かって手を合わしたらいいのか困ってしまいます。だから阿弥陀仏は私たちが見えるように“あえて”見える姿となって現れてくださったのです(これを方便法身といいます)。このことを親鸞聖人は「法身はいろもなし、かたちもましまさず。しかれば、こころもおよばれず、ことばもたえたり。この一如よりかたちをあらはして、方便法身と申す御すがたをしめして―」とおっしゃっています。
つまり、より具体的で阿弥陀仏のお姿をイメージしやすい「木像」が方便法身、いろもかたちもない「名号」が法性法身、その中間が「絵像」ということになります。
ちなみに、本願寺八代目宗主の蓮如上人は「木像よりは絵像、絵像よりは名号」という言葉を遺されています。これは偶像崇拝に人間が陥りやすいことを戒めたもので「阿弥陀仏という“形(=目に見えるもの)”にとらわれるのではなく、その“はたらき(=目に見えないもの)”を大事にしなさい」ということを表しているのです。
木像・絵像・名号、それぞれ自体に優劣はありません。だからどれをお飾りしても問題ありません。
「あらゆるものに優劣を付けているのは私のほうであった」ということに気づいていき、いつでもお念仏が称えられる身とさせて頂きましょう。